茜色に染まる帰り道を、私は夏と
手を繋ぎながら帰るはめになっている。


隣を歩く夏は鼻歌なんか歌っちゃって
誰がどう見てもご機嫌だった。



「…何がそんなに楽しいの?」

『楽しいっていうよりは嬉しい…かな』

「嬉しい?」

『うん』

「ふーん…」


何が…とは言わなかった。
だって、だって。


「(そんな顔見せられた、なんとなく
わかってしまうじゃないか…っ)」


何が嬉しいのか、なんて聞かなくても
伝わってくる。


「(夏のバカ…)」


赤く染まる頬は夕陽のせい。