「…え…?」


瞑った眸を開けると、目の前に
綺麗な顔が映り込んだ。


『ごめんなさい、でしょ?』


ごめんなさい?


『唇、痛かったんだけど』

「……、」


ちら、と唇に目をやるとやっぱり
そこは血が滲んでいて。でも、これは


「夏が…キスするから……」


語尾が消えていってしまう。


『聞こえないよ』

「…っ」


そう言ってまたぐっと顔を近付ける夏。


『言わないと、またするけど?』


“なにを”とは言わないところが
中々どうして性格が悪い。


「…夏が悪いのに…」

『……じゅー、きゅー、はちー』

「なんで数えるの!?」


突然カウントダウンを始めた夏に
焦りが生まれる。


まさか、こいつ謝らないと
本当にまたキスする気か…っ!


「ねえ!なんで私が謝らないと」

『よーん、さーん』

「夏…!」


回された腕に力を込められて、
余計に顔が近付く。


『にー、』

「っ」

『いー…』

「ご、めんっ…なさい…」