背中を向けて本気で逃げようとした私の
腰にするりと腕を回し向かい合うように
抱き締められる。


顔が…っ、近い!


「な、つ…!」


少しでも動けば、唇と唇が触れ合って
しまう程近い夏との距離に戸惑いを
隠せない。


『悠…』


吐息が…っ。


もう、どうしようもなくて。
思考が鈍くなっていく中で目の奥が
だんだんと熱くなる。


ダメ…

出てくるな、涙…っ


ぎゅっと耐えられなくて眸を瞑った瞬間、


『ごめんなさい、は?』


コツンとおでこに軽い痛み。