自分の机に鞄を置いて、そっと夏に
近付く。



「ね、てる…?」


スースーと寝息をたてながらその綺麗な
顔を惜しげも無く晒して夏は眠っていた。


「無防備」


こんな夏は、初めて見る。


無意識に伸びた手は、夏の柔らかそうな
ブラウンの猫っ毛に触れていた。


こんなに近付いたのは、あの日以来…



夏にキスされた、あの日以来なのだ。


「っ」


自分で思い出しといて、赤面するなんて
馬鹿みたい…っ。


調子が狂う。夏に惑わされている。


『……ん…』

「、!」


髪に触れていた手をぱっと離そうと
した瞬間。


『…はる…?』


その手を掴まれ、私の心臓は飛び跳ねた。