「な、つ…?」
『消さなくていいから』
「でも…だって、」
『嗚呼…うん、ごめん。怖かった?』
「…っ」
怖かった。とても。
夏に、
「嫌われた…って思った」
言葉から伝わる震えは全身に広がって
カメラをぎゅっと握りしめても治まることはなかった。
怖かったのだ。本当に。
夏に嫌われることが…何よりも怖かった。
ふわっとお日様のような香りが濃くなったと感じた瞬間、身体が窮屈になる。
「夏?」
『……だからさ、それ反則だって』
「?」
夏の言う『それ』が何を指しているのかがわからなくて首を傾げた。
『いいよ、わからなくて』
困ったように小さく笑う夏。
不思議と震えは止まっていた。