「……それは最悪だな」

 形のいい眉を寄せて、エディはつぶやいた。それからジョージーナの肩に手をかけて甘い声でささやく。

「わたしから言っておいてやろう。その間抜けな手紙の差出人は誰かな?」

 名前を聞いたエディの肩が落ちた。

「すまないね、あいつは馬鹿だ。君の方でよければもう一度チャンスをもらえないか」

 ジョージーナが頷くのを見て、エディは少女たちに別れを告げると再び勢いよく歩き始めた。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「ウィル! おい、ウィルはどこにいる?」

 近くの貴族の家へと使いに出され、その帰りに少女たちの相手をしてから王宮に戻ったエディは、真っ先にウィルを呼び出した。

「おまえ、まだマーガレットにケーキの礼を言ってなかっただろう」
「あ……」

「あ、じゃない! 角の本屋に彼女が欲しがっていた隣国のレシピ本が入ったそうだ。夕食前に買いに行ってこい。それを彼女に渡して、ケーキの礼だと言うんだ。ちゃんと誉めるんだぞ? ついでにレシピ本の中から何かリクエストしてこい」