最初からあまり余裕がないとはオーウェンも思っていたが、こんなに若いのに互角に打ち合ってくる相手というのはなかなかいるものではない。

 これはまずい、と思い始めた頃だった。エディの動きがだんだん鈍くなってくる。体力ではオーウェンにはかなわないということなのだろう。

 ふらつきながらエディが打ち込んできた剣をオーウェンは軽々と弾き飛ばす。その剣が地面に落ちるのと同時に右手を差し出した。

「……ようこそ、ファーレス騎士団へ」

 それは仲間として認められないまでも、エディがファーレス騎士団に受け入れられた瞬間だった。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 騎士団といえど、酒の席では無礼講だ。上部が風紀の乱れを警戒しているファーレス騎士団ならなおさらのこと。

 適当に床に座り、グラスなんて割れやすいものではなく頑丈なカップが各自に配られる。エディは、行儀よくカップを両手で持ってちょこんと端に座っている。

 最初のうちは和やかだった飲み会も、酔いが回れば荒っぽい雰囲気になってくる。

 借金を返した返してないで口論していた二人が、勢いよく立ち上がった。一触即発という剣幕だ。