「……わかった」
「ウィル、始めの合図をしろ!」

 オーウェンの言葉に、近くで二人の様子を見ていたウィルが皆より一歩前に出る。

 エディは剣を構えてオーウェンを見据えた。その構えに周囲の者たちが内心舌を巻いたのをエディが気づくはずもない。

 隙がない――というだけではなかった。エディの身体から伝わる静かな威圧感のようなものが向かって立つオーウェンを圧倒する。

「始め!」

 ウィルの言葉が鋭く周囲の空気を引き裂く。先に動いたのはオーウェンだった。隙はない――けれど、力押しでいけるはず。相手はとても細いのだから。

 刃と刃が正面から打ち合わされた。鋭く打ち込んだオーウェンの剣を、エディは細い体で正面から受け止めていた。

 そのまま力比べになる。ここで一気にかたをつけてもいいのだが、それでは面白くないとオーウェンが一度引こうとした瞬間だった。

 オーウェンが体勢を立て直す前にエディが打ち込んでくる。一度、二度と刃がぶつかり合って火花が散った。緊張しているのか、少し顔をこわばらせたままエディは何度も打ち込んでくる。