「如月さんがいたからですよ!」


この人がいたからあたしは勉強が手につかなかったんだ。



「はぁ?俺が悪いのか?」


「そ、そうです…」



ちょっとイライラさせてしまった。

声が低い。


「アズ、“俺が”悪いのか?」


うぅ…

“俺が”って強調して言ってきた。



「如月さんは悪くないです」


ついつい折れてしまった。

くやしー。


如月さんなんか納得したのか満面の笑みをうかべている。



「アズ、勉強しろよ」


「………はい」



もう如月さんなんて考えないことにしよ。


あたしはやっと真っ白なノートにペンを走らせた。