「優。おかあさん、
ここをそろそろ出ていこうと思うねん。」
「え?」
「いつまでもおじいちゃんたちに
迷惑かけられへんやろ?」
「それにここのやり方が合わへんわ。」
(6歳の娘に言うことなのか?)
母は何でも私に相談する癖がある。
おかげさまで私は
6歳ながらにいろんなことに敏感だった。
人の顔色を伺うのが得意だし、
考えも少し大人だったかもしれない。
「3人で引っ越そっか。
小学校も転校しなあかんけど。」
いろんなことが駆けめぐる。
せっかくできた友達は?
通いなれた学校には行けなくなる?
何より大好きな人。
兄弟のように大好きな冬馬くんは?
もう会えない?
その夜、母には内緒でこっそり泣いた。