「おぉう、なんだかやっとバンド小説らしくなってきたなぁ」

「覇龍さん。これ、ホラー小説らしいわよ?」

「まじでかぁっ!」


 ソロを弾きながら驚く覇龍だが、またすぐサビになる。お喋りをしている場合ではない。



♪Why don't you shot the Killer? Just wanna be,now ♪



 アカペラのコーラスで流れを止め、一気に演奏をぶち込んで曲を最高潮へと盛り上げる。

そしてその疾走感を保ったままラストへ!


「よっしゃぁぁ、斬汰ぁ」

「行くんだ、咲邪」

「決めるわよ? 覇龍さん!」


 爆音の中でアイコンタクトを交わす3人。



  ジャジャァァァァァン ドコタァン!

  シュパッシュパパッ



「ワァァァァァ」


 金銀のきらびやかなテープが紙吹雪と共に客席に向かって打ち出され、クロレトの出番は終わった。


「アンコーォォォル!」「アンコーォォォル」「アンコール、アンコール、アンコール!」


 前座の自分達へ向けて期せずして巻き起こったアンコールに戸惑っている咲邪達だったが、そこへ主催者の愛壱(アイチ)がやって来た。