「今はこれで我慢してやる」



はっ?


えっ!?



「何したの!?」



いくら下向いても何も見えない!!



「後で鏡でも見れば?」



なんなのこの勝ち誇った様な顔!!


ムカつく。


グイッと隆輝の顔が近付き、私は顔を後ろに引っ込めた。



「首輪買ってくるまで大人しくしてろよな」

「は!? 首輪って何よ!! 犬、猫じゃないんだからそんなのするわけないでしょ!!」

「お前は犬みたいに従順で可愛げもなければ、猫みたいに気品もない。 犬、猫に失礼だろ」



今何て言った!?


私に対して失礼とは思わないわけ!?



「わけわかんない!! ムカつく!! 馬鹿隆輝っ!!」

「なっ……おまっ!?」



隆輝の襟を掴み寄せ、首元にかぶりついた。



「いてぇな!!」

「うっさい!!」



隆輝を突き飛ばし、私は走って逃げた。


急いでトイレに駆け込み、鏡を見て絶句。


鎖骨あたりに赤丸がくっきり……。



「バカりゅうきぃぃぃ!!」



恥ずかしいくらい、鏡に映る私は真っ赤な顔をしていた。


ブラウスのボタン上まで閉じてればわかんないけど、普段開けてるのに閉めてたら逆に怪しまれるよね。


開けててもギリ見えないとは思うんだけど……。


悩んだ末、保健室の先生に虫に刺されたと苦しい言い訳をして、結局絆創膏を貰ってしまった。


恥ずかし過ぎる。