虚空へ向かって
 朧気に呟くその姿には、
 私のせいで悲しみを背負わせている、
 そんな気がして、
 たまらなく心が痛んだ。



 私がかけるべき言葉など、
 いくら捜しても見つからなかった。



「……ま、気にするな!」



 弘江さんはすぐに業務用の笑顔へ戻る。


 それは小さな強がりなのか、
 私を悩ませないように
 気を配っているのか。

 どちらかはわからない。



「外、出ようか」



 かけられた言葉に頷いて、
 平気で動く足をベッドからおろす。


 こんなに、正常なのに。


 ワタシノカラダは。


 どうして、治らないんだろう。


 今更、考えても遅いこと。