俺達の世界は単純に出来ている。
「あー!!誰だあたしの菓子食ったやつ!!最後のうまい棒ー!!」
「誰だーこいつの菓子食った奴~?!」
「ケン、さっき食べてなかったっけ?」
「え?あれこいつの?」
「・・・返せー!!50円!」
「高ぇよ!10円だろ普通は!」
「慰謝料だ馬鹿!」
「んじゃ、15円でいーだろ、消費税込みだ。」
「10円に消費税なんてつきませ~ん~。」
「じゃー10円でいーだろぉが!!」
「ダメ!50円!」
「10円!」
「50円!」
「・・・だー!!うっせぇ!!」
ゲームに夢中になっていたヒサがキレた。
「全然集中出来ねーだろ!」
そんなヒサの横で万歳しているユウ。
「俺の勝ちー♪約束は約束だからなー!」
「・・・おまえらのせーだっ!」
ヒサは立ち上がるなりケンとサユを一回ずつ蹴っ飛ばした。
「痛ー!!おまえこれでもあたしは女だぞ!」
「へぇ~女だったんだ。初めて知った!」
蹴られた背中を摩りながら悪態つくヒサにお返しと言わんばかりにサユは自分が蹴られた場所と同じ場所をグーで殴った。
「・・・った!暴力女!!」
「うっせ、チビ男!」
あー始まった。いつもの二人の言い合い。
ヒサとサユはどうもお互い気に食わないらしく、何かあるとすぐに言い合いになる。
って、言ってもサユは誰とでもすぐ言い合いになるんだけどな。
喧嘩っ早いこいつは相手がどんな奴だろうと掴みかかっていく。
弱いならまだしも・・・強いんだよな、こいつ。
「チビチビ!あれーヒサ小さすぎてどこいるか分かんな~い。」
「・・・っの、ゴリラ!怪力女!!」
ハタから見たらネコ同士がじゃれてるみたいだ・・・。
「ってか、おまえ太ったろ?」
サユに首根っこ掴まれながらヒサが意地の悪い笑みを浮かべて言った。