「うっしゃー!点入れたぁ!!」

大きくガッツポーヅを作りながらヒサが叫ぶ。

「なーいす!ヒサ♪」

向かい側のゴールに張り付いたままのユウは声をあげてヒサと同じようにガッツポーズを作って上に高くあげた。


よく、子供は元気ね~って、言われる。
子供は風の子だ、とか。

まさに、だと思う。
現段階で小学5年の俺達。
歳で言えば11歳。
子供真っ盛りな時期だ。

朝は早く起きてすぐ誰かと遊びに家を飛び出して、ぼろぼろになるまで遊ぶ。
晩御飯の時間とか忘れるくらい遅くまで遊ぶ。
辺りは真っ暗でも小さな街頭や家々から漏れる光で十分でただ遊びまくる。




「んじゃ、俺もいれっかな~。」

ヒサに負けてらんないし、この流れにのって、もう1点もらうとしますか。

サトがゴール前で蹴ったボールを追う。
あの、二人に渡る前に確保。
そして、一気にダッシュ。

「よ、っと・・・三郷~パスする~・・」

なんて言いながらも向いた方向はゴール前。
大声で三郷を呼んだのは、嘘。

ありきたりな戦法。
だけど、通じるんだもんな。

あのケンとサユの唯一の弱点は馬鹿だってこと。

馬鹿正直。とも言える。


ボスッ。

本日二度目。ボールを受けて揺れるネット。


「2点目~」

ヒサが駆け寄ってきたから手をあげた。

パンッ。
乾いた音がまた響く。

ジャンプしながら俺の手にハイタッチしてきたヒサと続け様にちゃっかり「ナイス。」と呟いた三郷。

あぁ、ゴール前ではユウが大きく手を振って叫んでた。

「ナイスーハルー!!」


「点差は・・・」

「あと、」

「1点。」

ヒサ、俺、三郷は向かい合って確認してから握り拳を合わせると「おぅ!」と声をあげてそれぞれに散った。