「……。」
無言でユウを数秒睨むとヒサは立ち上がった。
同時に体をビクつかせるユウ。
どんだけ怖がってんだよ、と内心で苦笑しながらヒサの姿を追っていると、ヒサはそのまま何も言わず財布だけ引っつかんで部屋を出て行った。
「あ、素直。」
つまんない。とでも言うように三郷はゆっくり閉まった扉を見てため息をついた。
「お、俺…生きて今日家帰れっかな……。」
青い顔でユウは俺に顔を向けてきた。
何も助けらんねぇぞーという意味で首を横に振ると、今度はサトに縋りつくようにユウは「どうしよぉ~~~!!!!」
と半泣きで声をあげた。
ま、確かに今みたいな態度をしたヒサは初めてだ。
いつもは「絶対するかバーカ!」とか言って逆にユウにさせるけれど、今みたいに素直に従ったのは初めて。
そりゃ、後々が怖くなるわけだ。
「ユウはヒサに怯えすぎ。大丈夫だって。」
「ほ、本当かサト?」
「…たぶん。」
俺同様苦笑するしかないサトは新しいカードを捲ってデッキ変わりに使ってる座布団の上に置いた。
「あ、そーいやヒサって桜ちゃんとこだよな?サユと喧嘩なってなきゃいいけど。」
大いに想像出来る…さっきがあっての今だ。
またあの狭い店の中でぎゃーぎゃ言ってんだろう。
「うっせーんだよ!!何でおまえ買ってねぇんだこの馬鹿!!」
「はぁ?!このあたしに馬鹿?!ざけんなよチビ助!!」
そうそう、こんな感じに…。」
「うっせぇよ!!このデブ!!」
「お、おまえ……殺すーっっ!!!」
……ん?