「ケン!!何すんだよ!おまえふざけんなっつの!!」

ケンのベッドに吹っ飛ばされたヒサは布団の中から何度か足をばたつかせてから起き上がった。


「…あ、悪いヒサ。うっかり!」

へラッと顔を緩ませて笑うケンに対して不機嫌になるヒサ。

「ケン…」

ゆらっとベッドから立ち上がりケンに詰め寄る。


ヒュー…バコッ!

「ぃだっ!」

どこからともなく飛んできた漫画本。
見事、ヒサに命中したわけで…


「よしっ!ケン!桜ちゃんとこ行くぞ~」

さっきまでうずくまっていたサユが勢いよくケンの腕を掴むと一瞬で部屋から出て行った。






「…誰だ、これ投げた奴…」

自分の後頭部に当たって床に落ちたその数冊の漫画本を拾いながらヒサは残った俺達を睨んだ。

咄嗟にヒサから視線を外す俺達。


「あのゴリラか…」

漫画本を握り締めながらヒサはケンの部屋の窓を開けて、下を見下ろした。


「おい!この、バカ女ー!!!」

「へへ~仕返しだバーカ~」


外から聞こえる徐々に小さくなっていくサユの声。


ヒサはずっとバーカ、とかボケーとか、叫んでいた。