「はぁ?!」

ぷに。

きっと、効果音をつけるならこんな感じ。

「ほら、やっぱ前よりも肉ついてんじゃん。」


あろうことか、ヒサはサユの着ていたシャツをめくって脇腹を掴んだ。


「ぅ、わぁあぁあ!!」

掴まれた瞬間サユはヒサはぶん投げた。

サユはそのまま力が抜けたように小さくなって座り込むと、覇気のない声で言った。

「…脇腹は弱いんだよぉ……」


このサユの一言に最初に反応したのがぶん投げられたヒサだった。


「いってー…って、おまえまさか、くすぐってぇのダメなのか?!」


弱点見っけとも言わんばかりにヒサはそれはもう、嬉しそうな顔で声を出して笑った。


ドカッ。

「い゛っ!?」

不意打ちでヒサも油断していたのか、いきなり蹴っ飛ばされたと思ったらキレイに吹っ飛んでいった。

「…あれ?」

しかも、その蹴っ飛ばした奴がサユならまだしも、ケンだった。
ケン自身も無意識の内だったのか、吹っ飛んだヒサを見て不思議そうに首を傾げた。

何で、蹴っ飛ばしたんだ?って言いたそうに…。