小学生。
俺達の輪の中にはいつの間にか天使がいた。
「サユーそっちいったー!!」
「任せろ!」
バシュ。
風を切って強く蹴られたサッカーボールはゴールネットを揺らした。
「・・・くそー!!」
悔しそうにボールを拾うユウ。
「ナイッシューあたし~♪」
「次は止める!」
小柄な体でサユの前を塞ぐヒサ。
いつもの光景。
こうゆうのなんて言うんだっけか・・・
「あ~・・平和、だ。」
「夏休みボケしてんじゃない?」
いつものように俺にだけ、毒づいてくる三郷。
「うっせ。」
「ま、いーけど。早くボール取りに行かなきゃヒサが切れるよ。」
俺の隣で一緒に歩いていたけど、いきなり走り出す三郷。
怒鳴られるのは俺だけでいーってか?
本当、意地の悪い奴。
ポーン。
ユウが蹴り上げたボールは綺麗に弧を描く。
「ハル!!ちんたら歩いてんじゃねぇ!!」
あ、切れた。俺達の中で一番短気なヒサ。
ほらね、とでも言うように三郷がチラッと俺を見て笑った。
「わ~かってるよ~。」
ため息を一つ、ついてから走り出す。
秋空の下。
俺達の空き地にて。