ついに、私がやる障害物競争。

まずは、ネットをくぐり、ハードルを飛び越えて、またネットをくぐり、最後は無駄に柔らかいクッションの上を走りゴール。

とにかく、不安…。

『薫ー!頑張れ!』

後ろから、龍斗の声。

振り返ると龍斗は、少し離れた所で大きく手を振っていた。

私は、ニコッと笑い手を振り返した。

次は、私の番…。

ピストルの音と同時に走った。

ネットは、なんとかくぐった。

次は、ハードル。

飛び越えようとし…。

『…あっ。』

何かが足に当たった感じ。

そして、私はバランスを崩し倒れた。

『薫っ!』

誰かが、走ってこっちに向かって来る。

『龍斗…?』

『薫っ!大丈夫か!』

『痛い…。』

『ほら、捕まって。』

『えっ?』

私は、龍斗におんぶされ保健室へ向かった。

龍斗の暖かい背中。

私は、このままがいいと少し思った。









保健室に付いて私は、ベッドに座らせられた。

『すり傷だね。』

龍斗が私の脚を見て言った。

『うっ、うん。』

『消毒ー、どこだー!』

まるで、人を探すように龍斗は言った。