参ったな…。

いかにも柄が悪そうな輩が喧嘩をしている。



「…出るぞ」


翔もそれを悟ったのか引き返そうと向きを変えた。

それに続こうとオレも振り向いたら、



『っ!?』



ドンッ!

っと、誰かに肩がぶつかった。



「ああ゛?いてぇなあ」


ヤクザ風味たっぷりの奴にオレは睨まれた。

さらに、ソイツの後ろには2人の男。



ぶつかって来たの、ソッチだろ……とは言わないが謝らないぞ、オレは。


「何か言えや兄ちゃん」

『……あ?』


オレは気が長い方じゃない。
ヤクザなら潰し方知ってんだぞ?



「あぁ!?」


ガッと掴まれた胸ぐら。

あ〜あ。出したな、手。


よーし、これで手加減なく殺れ……


「…そこまで」



オレの胸ぐらを掴んだ男が吹き飛んだ。


「坂城さん!?」

「テメェ!何やってくれてんだ!?」



翔は上がっていた足を下ろしてからギロリと他二人を睨んだ。

手をポッケに入れている辺り、翔はさっきの男を蹴り飛ばしたらしい…。

向こうでグッタリしているのが見える。


…と、凄い殺気だな。



「…お前等こそ、何している」

「ああ??うるせえ!」



殴りかかった二人。

まず先に来た一人の腹を蹴ってから、回し蹴りでもう一人も蹴り飛ばした。

流れるように綺麗に闘うんだな〜…と呑気に観察していたら後ろからガヤガヤと声が聞こえた。



「行くぞ」

『お、おう!』



翔はオレの手を掴むと路地裏を走った。