『いや〜イルカカッコ良かったな〜』
「そうだね」
ルンルンと嬉しそうに笑う朔月君の横顔を見て、良かったなと思う。
俺はほとんど朔月君を観察するのに時間を使ってしまったけど。
『ふ〜〜。あ、そろそろ時間だな』
「え、…」
フと時計を確認するともう4時30分になっていて。
5時閉館だから…もう30分!?
『しょうがない。じゃ〜そろそろ出口に向かう?』
「ちょ、ちょっと待って。最後に、行きたいとこあったんだ!」
楽しくて時間があっという間とはこの事。
焦ってパンフレットを取りだし、朔月君を連れて目的の所まで急ぐ。
『ど、どこ行くんだ?』
「ごめん、ちょっと急ぐね」
小走りで連れてきたのは南極コーナー。
大量の銀に輝く魚達が泳ぐ幻想的な空間の真ん中。
氷のように再現された水槽の中にスイスイ泳ぐ、ペンギン。
『わっ、ペンギンか!』
「そう…ペンギン」
ペンギンを最後に見たかったのは、このコーナーは薄暗い中に青色の光で照らされている幻想的な空間の中。
人気者のペンギンが、子供達に囲まれていないから。
閉館ギリギリのためか誰もいなく、やっぱり最後に取っといて良かったな。
ムードがあるこの場所でも、
『うはっ、見て、慎二。アイツ泳ぎながらフンした!白い!』
「……うん」
『アハハ!他の奴もフン避けてら!汚いのかな、やっぱ』
「…」
…全くムードがない、朔月君だけど、俺はやっぱりその楽しそうな顔が一番好きだから。
『あ!あのペンギンなんか慎二と似てる!』
「え?どこが?」
『何かしっかりしてそうな所が!』
「…ありがとう。じゃあ、あの子は朔月君に似てる」
『え、何で?』
「………可愛い所が」
ずっと俺の中では一番だから。
また、一緒にデート出来ると良いな。
〜慎二とデート!?2 end〜