目の前に立つやたらと美しい人は、奈緒に向かってニッコリと綺麗に微笑んだ。34歳、まあ誕生日がまだなら33歳のはずなのに、あってもおかしくないはずのシミも皺も見当たらない、つるんつるんの卵肌が輝いている。

 白髪も・・・なさげ。キラキラと漆黒の髪の毛は光を放ち、それが実に優雅なカーブを描いて彼女の小さな白い顔を包んでいる。

 マジで?本当に同じ年??

 私が呆然と観察していると、彼女は奈緒の方へ体を向き直らせ、口を開いた。

「榊さん、お久しぶり。お仕事の噂を聞いたわ。素晴らしい活躍をしているそうね」

 派手な美人同士が会話を始めたその場所から思わず後ろに下がって、同じように後ろに下がったダレ男にこっそりと聞いた。

「・・・・ねえ、えーっと・・・この人、たーしか・・・」

 見たこともあるし、覚えてる。この人だけは、しっかり覚えてる。ちょっと今名前が出てこないけど(だって彼女は義務のはずの名札もしてないのだ)、絶対私はこの人を知っている。

「ほらほら、何て人だっけ??」

 私の隣で顔近くまで下げた皿から料理を口に運びながら、ちょっとばかりうんざりした顔でヤツが言った。

「3-3、渡瀬」

 この場でも、ご飯食べてる。それに少し驚いたけど、とりあえずと私はヤツに聞く。

「・・・・渡瀬さん、あ、そうだそうだ!ダイナマイトの渡瀬さん!へえ、知り合いなんだね~。・・・同じクラスだったとか?」