私は、赤いレンガのどこか古めかしげな家の前で足を止めた
玄関はセンスの良さが引き立つランプや呼び鈴などの装飾があり、とてもキレイだ
近づけば、ぱっとほのかな明かりを灯してアーティスティックなドアへ自然と歩が進められる
カランカラン、
綺麗な音が響いて、明るい光の中へ
「おかえり、くーちゃん、」
トントンと廊下から響く音に靴を脱ぎながら返す、
「ただいま。美里おばさん。」
ふと、見上げると優しげに見つめられる。
琥珀色に染まった柔らかな瞳に、ほっとして微笑む
昔から、優しく見守ってくれる人だったから。
なみだをそっと包んでくれる、暖かい人。
私がやってきたときに、言ってくれたんだ。
『ほら、前を向いて。くるみちゃん。大丈夫。わたしがずっと一緒にいるから、』
それから今までずっとずっと大切にしてくれている。
だから、毎日。
「・・・ありがと。」
そう言って、私はすっと立ち上がる。
と、空気を一新するかのように
「くーちゃん、さあ、ご飯にしましょう!!」
と声がかかる。
「はい・・・!」
私も続いてリビングへ進んだ。