初恋

「べっ・・・別に・・・あ・・あんたの試合とか見たくなかったんだけどさ、景が・・・・景が見にこいって言ったから来たら・・・そしたら・・・あんたの・・・不甲斐ないゲームに・・・・なんか・・・・その・・・・」

自分でも思いっきりしどろもどろになってるのは分かってても「何か言わなくては！」の一心で必死で口を動かした。
しかし、結局何を言えばいいのか分からず言葉が続かなくなった。

「分かっとるよ。沙羅ちゃんが俺を見に来たんちゃうって事は。彼氏の応援に来たんやろ？」
「はぁ？彼氏？」

いつのまに私に彼氏が出来たのだろうと真剣に思った。

「藤堂の事や。付き合ってるんやろ？」

ここにもいましたよ・・・・勘違い野郎が・・・。
焦っていた気持ちが一気に落ち着き、
私は大きくため息をついた。

「あんたがそう思うのは勝手だけど、私と景はただの幼馴染でカレカノとかそんなんじゃないから」

私の言葉を聞いて田宮がきょとんとした顔をした。

「え？つきあってへんの？」
「しつこいなぁ。だからつきあってないってば」
「ほな、今、沙羅ちゃんって彼氏とかおらんの？」
「・・・・いないわよ・・・」
「なんや～！」

田宮はそう言うとあからさまにほっとした様な顔をした。

「なんや俺、勝手に勘違いして気分落としてもうたやん」
「意味が分からないんだけど」

私には田宮が何の事を言ってるのか理解できなかった。