次の日。

約束通り、初めてデートした遊園地にやってきた。
お正月の2日。
こんな日にわざわざ遊園地になんてくる人はいないだろうと思っていたけど、結構人がたくさんいた。
いくつかの乗り物に乗った後、東吾は私の手を引いて言った。

「ほな、今日のメインイベントに行くで」

にこにこ顔の東吾に私はおずおずと言葉をかけた。

「あ~・・・・やっぱり・・・あそこに行くの?」
「あったりまえやん♪」

そうしてたどり着いたところはお化け屋敷の前。

「よしっ!ほな行こうか」

東吾は私の手をぐっと引いて中に入ろうとしたが、私は足を突っ張らせて抵抗した。

「いやいやいや!東吾、ちょっと待って!」
「なんや、沙羅。どないしたん?」

私が必死に抵抗するので、東吾は首を傾げて私を振り返った。

「いや・・・やっぱり東吾だけ行ってきて?」
「・・・・あのなぁ・・・」

東吾ははぁっとため息をついた。

「何が悲しくてお化け屋敷にひとりでいかなあかんねん。しかもカップルで来てんのに・・・・。あ!もしかして、沙羅」

そう言って東吾は私の顔を、いたずらを見つけた子供の様な笑顔をしながら覗き込んだ。

「おばけ怖いんか?」
「―――っ!!」

実は私はこういうオカルト系は大の苦手。
東吾に図星を指されて思いっきり顔を背けた。

「な~んや!沙羅もかわいいとこあんなぁ」

そんな私の頭を東吾は撫でてきた。
私は自分の弱味を握られた悔しさと恥ずかしさで顔を赤くしながら言った。

「そっ・・・そういう訳だから、お化け屋敷は東吾だけ行ってきて!」
「そうはいかん。こんなかわいい沙羅をひとりにしとかれへんやん」
「・・・じゃあ・・・お化け屋敷はなし・・・って事で・・・」
「そうやなぁ・・・しゃあないなぁ」

東吾がそう言ったので、ほっと胸を撫で下ろした瞬間

「無理に連れていかなしゃあないな!」

そう言って東吾は私の手をぐっと引いてお化け屋敷に向かって走り出した。
不意を突かれた私は抵抗する間もなく勝手に足が動いてしまっていた。

「ちょっ!東吾!やめて!いや・・・・い~や~~~!!!!」

私の絶叫はお化け屋敷の中へと吸い込まれていった。