その知らせは突然だった。

年の瀬も押し迫った31日。
大掃除もどうにか終わり、母とふたりでのんびりと紅白歌合戦など見ながら、のんきにそばを啜っている時だった。
食卓の隅に置きっぱなしだった私の携帯が鳴った。

「あ・・電話だわ。ちょっとごめん」

メールならそのまま食事が終わるまで放っておくのだが、電話となると出ないわけにもいかず、母に一応断りをいれて電話に出た。

「もしもし?」
『沙羅?あんたのんきに紅白歌合戦なんて見てんじゃないでしょうね?』

電話の主は由香だった。

「そうだけど?悪い?」
『あんた、花の女子高生が蕎麦すすって紅白見てんじゃないわよ』

蕎麦を食べてる事は言ってなかったのに・・・。

「で?なんの用?」
『明日、久しぶりに中学のみんなと集まるから沙羅も景一くんと一緒に来なさい』
「明日?正月早々?っていうか命令?」
『つべこべ言わずに来なさい。明日、駅前のカラオケボックスに1時集合ね。じゃ、また明日ね。よいお年を!』
「強引ね!・・・ってもう切れてるし・・・」

有無を言わさず切れた電話を見て小さくため息をついた。
そんな様子を見ていた母がくすっと笑いながら言った。

「相変わらず由香ちゃんは元気みたいね」
「そうみたいだね・・・」

私は心の中でやれやれと肩を落としながら景に電話をして明日の事を伝えた。