いつもよりゆっくりとした速度で景は歩いてくれていた。

「景も・・・ごめんね。心配かけて・・・」

いろんな人に迷惑をかけてしまって自己嫌悪に陥りながら景にも謝罪した。

「保健室まで運んでくれたの景でしょ?ごめんね。重かったでしょ?」

私の問いかけに景は「いや」と答えた。

「お前を保健室まで運んだのは田宮だ」
「えっ・・・・たみや?」

私は驚き、少し呆然と前を見た。
景はその時の様子を話してくれた。

「沙羅が倒れる直前に田宮がお前の身体を受け止めたんだ。俺が駆け寄って保健室に連れていこうとしたら、田宮がお前を離さず、そのまま抱き上げて保健室まで運んだんだ」
「そう・・・だったんだ・・・」

意識を失くす直前、誰かの力強い腕が支えてくれたのを覚えている。
田宮だったんだ・・・・。
しかもそのまま抱き上げられたと聞いて、私は今更恥ずかしい気持ちでいっぱいになってしまった。