「で?なんであんたが田宮の進路聞いて混乱してるのよ?」

ニタリと由香が笑いながら私に言った。

「なんでって・・・・そりゃ急に留学とか聞いたら誰だって・・・」
「びっくりはするだろうけど、混乱はしないでしょ」

私の言葉を遮り由香がキッパリと言った。
言われて見れば由香の言うとおりで、私は黙り込んだ。
そんな私の様子に由香がため息混じりに言った。

「あんたさぁ、いい加減素直に認めなさいよ。田宮の事が好きなんでしょ?そんな風に意地はってたら時間がもったいないよ」

由香の言葉に私は首を横に振った。

「違うよ、由香・・・。認めていない訳じゃないんだよ。私だって自分の気持ちに気付いてる。でも・・・・どうしたらいいのか分からないんだ・・・・。田宮の姿を見ると、ほわんって胸が暖かくなったり、ぎゅって痛くなったり、でも人と話してて笑ってるところを見ると無性にイライラしたり・・・。自分の感情が田宮に振り回されてる感じがする。こんなの、訳が分からないよ・・・」

そう話しているうちにさっきの田宮の姿が浮かんできて、鼻の奥がツンっと痛み涙が溢れそうになった。

「こんな自分がいやだ・・・」

田宮を思い浮かべただけで泣けてしまう。
自分で自分の感情がコントロールできない。

こんな自分がイヤで素直にそう話すと、堪えていた涙が溢れ出した・・・。
そんな私の頭をヨシヨシと撫でながら麻衣が言った。

「沙羅、人を好きになるとね、誰だって弱い自分に出会うんだよ。沙羅だけがそうなる訳じゃないから。
でもね。
その人のおかげで強くなれたりもするんだよ?その人の為に頑張れたりする事だってあるんだから。
だから、沙羅は沙羅のままでいていいんだよ?今の自分、否定する必要なんてないよ」