(え?・・・・どしたの?・・・田宮・・・・)

内心うろたえている私に田宮はポツンと告げた。



「俺、卒業したらアメリカに留学する事、決まってるから」




「えっ?」



あまりに突拍子もない事を田宮が言うから、私は田宮が何を言ってるのか理解出来なかった。
呆然とする私に田宮が続けた。

「俺、卒業したらアメリカのテニスクラブに入ってプロ目指すねん。
こっちに転校する前から決まってた事や。その後におやじの転勤決まって、今更新しい学校に行くのもアホらしいとか思てんけど、義務教育は受けとかなあかんからな」

俯き、一気に話した田宮はそう言って机から腰を上げた。

「そういう訳で、卒業までよろしく頼むな、委員長」

そう言って田宮は私の横を通り過ぎて教室から出て行った。
私は見送る事も出来ず、ただ呆然と立ち尽くしていた。


田宮と共に過ごせる残り時間をこの時知った。