「知っている。だから帝星を薦めてるんだ」

そう言って景は再び歩き始めた。
私も後を追うように歩き出し、景の話を聞いた。

「帝星は教育環境も整ってるし、校風もしっかりしている。通って損のある学校じゃないのは知ってるだろ?」
「うん」

景は私に言って聞かせるように話した。

「確かに帝星は授業料の高さもあって裕福な家庭の生徒が多いが、特待生制度を利用している生徒も少なくない」
「特待生制度?そんなのあったの?」

知らなかった事実に意外な声をあげた。

「ああ。希望者の中で成績の優秀な生徒は入学金、授業料全てが免除される」
「全て?!それってタダで高校通えるって事?!」
「そういう事だ」

私は『タダ』という言葉に食いついた。
私立に比べれば公立高校は授業料は安い。
しかし『タダ』ではない。
こんな魅力的な話に食いつかない方がおかしい。

「あ~、でも帝星ってレベル高いでしょ?その中でも『優秀な成績』ってかなりのレベルなんじゃないの?」

当然の不安を口にすると、景はふっと笑った。

「校内で1,2を争う優秀な生徒が何を不安がる?」

からかう様な景の口ぶりに思わず反論した。

「1,2じゃなくて私はずっと2番ですよ!どこぞの嫌味な幼馴染がずっと1番のおかげでね!」