進むべき道

それからの私と田宮の関係になんの変化も訪れなかった。

田宮はいつもの様にクラスの中心で笑ってたし、私もクラスメイトのひとりとして以外田宮との接触はなかった。

そうして時間は過ぎていき、今は夏休みを目前に期末テストに入っていた。

その日のテストを終え、いつものように景と帰っている時だった。

「沙羅は進路どうするんだ?」

景が尋ねてきた。

「まだちゃんと決めてないけど、近くの公立高校受けるつもり」

正直将来の目標とか決まっていない私は無難な選択をしていた。
私の答えに景は足を止め、私を見ながら言った。

「帝星高校受けてみないか?」

突然の景の提案に面くらい思わず大きな声が出た。

「ていせい~?!あんな金持ちばっか通うハイレベル私立通えるわけないじゃん。うち母子家庭なの知ってるでしょ?!」

自慢じゃないが、うちは景の家の様に裕福ではない。
幼い頃に父と離婚した母は、看護師の仕事をしながら私を育ててくれた。
夜勤の時などは、母親同士が幼馴染という事でよく景の家に預けられたものだ。
なので、景もうちの家庭事情は分かっているはずである。