「照れてなんかいないわよ!」
「ホンマ~?その割には顔赤いで?」
「で・・・・電車の中が暑かったのよっ!!」
「まぁそういう事にしとこか」

そう言ってにやっと私を見下ろす田宮に私はますます顔が赤くなっていく気がした。

「あぁ!もう!!私の家、こっちだから!じゃあね!バイバイ!」

からかわれている事が恥ずかしくて、とにかく田宮から離れようと田宮に背を向けて歩き出した。
すると田宮の声が背中から聞こえてきた。

「バイバイ、沙羅ちゃん!楽しかったわ。明日また学校でな!」

その声に振り返る事も出来ずに私は家へと歩き続けた。



駅から大分遠ざかり、気持ちも落ち着いてきて私は足を止めた。

田宮に言い忘れた事があった事に気が付いた。

誘ってくれてありがとう。
私も楽しかったよ。
そして
電車の中で守ってくれてありがとう。

そう考えた時に、電車の中での近すぎる程近くで見た田宮を思い出した。
テニスで鍛えた腕とか、私をすっぽり包む位広い胸とか。
そんな事を思い出すと胸がギュっと音を立てた。

(なんか・・・ますます好きになってる気がするな・・・)

心の中で呟いて私は再び家へと歩き出した。