電車から降りるとふたりとも大きく息を吐き出した。

「はぁ、こないに混んでる思わんかったわ。沙羅ちゃん、大丈夫やったか?」
「うん、大丈夫だった」

心臓はまだドキドキ言ってたけど、心の中で(冷静に冷静に・・・)って呪文の様に唱えながらいつもの調子で答えた。
そんな私を見て、田宮は目を細めて私の頭をくしゃっと撫でた。

「えっ・・・・たみや?・・・」

戸惑いの声を上げた私の言葉を遮って田宮が口を開いた。

「沙羅ちゃん、めっちゃ頑張って踏ん張ってたやろ?あんな頑張らんでも俺に寄っかかって良かったのに。沙羅ちゃんひとりぐらい俺支えられんで?」

そんな言葉をかけられ、途端に顔に熱が篭っていくのが分かった。

「え・・・・あ・・・・・うん・・・・ありがとう・・・・」

なんて答えていいのか分からず、とりあえずそう言うのが精一杯だった。
すると田宮は俯く私を覗きこむようにして言った。

「あれ~?沙羅ちゃん、もしかして照れとるん?」

意地悪そうな田宮の声に俯いていた顔をばっと上げると田宮を睨みつけた。