「ここって遊園地?」

連れて来られたところは、昔から地元にあった遊園地だった。
入園ゲートの前には家族連れやカップルで賑わっていた。

「そや。デートと言えば遊園地でしょ!ほら、早よ行こう!」

わくわくしたような田宮は、今度は私の手を握り入園ゲートへ駆け出した。

「ちょっ!田宮!手!手、離して!」
「ん~?聞こえへん~♪」
「絶対聞こえてるでしょう?!もう!」

怒ったふりをしたけど、内心離して欲しくはなかった。
恥ずかしい気持ちはもちろんあったけど、それより嬉しい気持ちが大きかった。
でも素直になれない私は思いとは逆の言葉が出てしまう。

「何乗ろうっかな~」

私の態度なんて気にも留めないで楽しそうにきょろきょろと辺りを見回す田宮の顔を見て、思わず私も笑顔になった。

「ジェットコースターは最低3回は乗るわよ!」
「まじで~?!」

にやっと笑った私に田宮は笑顔で叫んでいた。




田宮がなぜ私を誘ったのかなんて分からない。
それでも人生初のデートを楽しもうと私は心を決めた。