私はその後からの授業が全く頭に入らなかった。

からかわれてた訳じゃないって知って嬉しい気持ちと、なんで私をデートに誘ったのか疑問に思う気持ちと、「だれともつきあう気はない」って言った田宮の台詞。
それがずっと私の心の中でぐるぐる渦巻き、自分でもどうしたらいいのか分からなかった。

(田宮はどういうつもりで私を誘ったんだろう・・・)

そう思って考えてみたけどやっぱり分からなかった。

「もう・・・・訳わかんないよ・・・・」

思わず独り言を零した時、先生の声が私の思考の中に入り込んできた。

「どうした、高宮。どこが分からんのだ?」
「ああ・・・すいません、なんでもないです」

慌てる私の言葉に教室のあちこちからくすくすと笑い声があがった。

(私・・・なんか田宮に振り回されてるな・・・)

そう思ってため息をついた。