スパーン

 スコーン


気持ちのいいボールの音と共に東吾の声が聞こえてきた。

「ケイタ!ボールに突っ込んで行きすぎや!もっとボールと距離とって!ダイチは力みすぎ!楽にラケット振ってみ」

子供達に必死になって説明している東吾にフェンス越しに声を掛けた。

「東吾!もうレッスンの時間過ぎてるよ」

東吾は腕時計を確認すると「うわぁ!」と急に慌て始めた。

「あかん!急がな遅れてまう!よし!今日はここまでや。さっさとボール片付けるで!!」

だらだらとボールを拾う子供達を尻目に東吾はせっせとボールをかごに運んでいた。
その様子を私はクスクス笑いながら見ていた。