「ふ~ん、あんたが田宮とねぇ・・・」

由香がにやにやしながら私を見た。

「でさぁ、私の質問の答えが欲しいんだけど・・・」

私が質問したにも関わらず、さっきから私が質問攻めに合ってる気がして、話を本題に戻した。
すると、由香があっけらかんっと答えた。

「そんなの、沙羅が田宮と行きたいと思ったところへ行けばいいじゃん」
「いや・・・それがないから聞いてるんですけど?」
「じゃあ田宮にそう言えばいいじゃん?行きたいところがないって。あんた、もともと乗り気じゃないんでしょ?だったらそんなに考え込まなくていいんじゃない?」

由香に言われて「それもそうだ」と思った。
元はと言えば、向こうが強引に誘ってきたのだから、そのせいで私が悩むのは違う気がしてきた。

「そうか。田宮に行き先決めさせればいいんだよね」
「デート自体を止めるって選択はないんだ」

そう言ってニヤッと由香が笑った。

「だって今更行けないとか言ったら、なんか負けた様な感じだし、それに一度は『行く』って言っちゃったし・・・・」
「はいはい。言い訳はいいから!素直に楽しみだって言いなさいよ」
「――――っ!!」

私は顔を赤くして俯いてしまった。