『由香ちゃんにも知られてもうてたんか』

  『あんたねぇ、生きてんなら連絡くらいしなさいよ!どれだけ皆が心配したと思ってんのよ!!』

  『悪かったな。もう俺の事なんか忘れてる思うてな。今更連絡しても迷惑かと思って』

  『ふざけんじゃないわよ。あんたみたいにキャラの強いやつ、忘れようったって忘れられないわよ!』

  『なんか由香ちゃんきっついなぁ』

  『当たり前よ!私たちはともかく、沙羅にまで連絡しなかった事にめちゃめちゃキレてるから、私』

  『沙羅なぁ・・・あいつにも忘れてて欲しかったんやけどな・・・』

  『あんた、バカでしょ』

  『えらいはっきり言うなぁ』

  『沙羅があんたを忘れるはず無いでしょ!そんな事ぐらいあんたにだって分かってるでしょうが!』

  『そやけど、あいつには藤堂がおる。今更俺が出て行って邪魔したなかったんや』

  『確かにあんたがいなくなって、ぼろぼろになってた沙羅を支えたのは景一くんだった。だけどね!それはあくまであんたの“代わり”だったのよ! 沙羅は景一君に支えられながらもずっとあんたを想い続けてたわよ!景一君も、沙羅があんたを想い続けてるのを分かっててずっと傍にいたわ。そんな風にふたりの人間を追い込んだ張本人がよくもまぁ簡単に“忘れてくれ”とか言えたものね!』

  『そんなん言うても・・・今更俺は・・・・』

  『さっきから聞いてりゃ今更今更って!“今更”なんて思ってるのはあんただけよ!みんなあの時のまま立ち止まってるって言うのに、なに悲劇の主人公気取ってんのよ!!』
  
  『・・・はっきり言うなぁ・・・由香ちゃん』

  『なに鳩が豆鉄砲食らった様な顔してんのよ。分かったなら、あの意地っ張りなお姫さんなんとかしてよね!』

  『由香ちゃん・・・ありがとう』