揺れる心

「ねぇ、デートってどこに行けばいいの?」
「「・・・・・・・・」」


いつもの昼休み。

これもいつもの様に、由香と麻衣が私の机を囲みのんびりとしていたところ。
私の唐突な発言にふたりはポカンと口を開けて私を見ていた。

「・・・なによ、2人してその間抜け面は・・・・」

私だって恥ずかしい気持ちを押し殺して思い切って質問していたので、早く何か言って欲しかった。
しかし2人は、ぽかんと開けた口を閉じたかと思ったら、二人で顔を見合わせた後、ようやく由香が口を開いた。

「あんた・・・・誰とデートすんのよ?」

当然の疑問を由香が聞いてきた。
私は非常に言いにくかったが、正直に答えた。

「うん・・・・なんか・・・・田宮とするみたい」
「はぁ?なんで田宮?っていうか『するみたい』ってなによ」

麻衣は驚き、由香は口ごもる私を鼻で笑った。

「沙羅、田宮くんに何か言われたの?」

いつものおっとり口調で麻衣が私に尋ねた。

「なんか『彼氏いないんだったらデートして』みたいな事を・・・・」
「で?あんた素直に了解したの?」

由香の言葉に少し引っかかって反論した。

「素直になんて返事してないわよ!なんだか売り言葉に買い言葉みたいな感じでいつのまにかそういう事になってたのよ」
「なんでデートの誘いが売り言葉に買い言葉になるのよ」

由香は呆れた様に笑った。