「はぁ~いっぱい食べたし、いっぱい飲んだ!こちそうさまでした」

ほとんどの食材を食べつくし、ふたりでかなりの空き缶を作った頃、ようやく私は箸を置いた。
満腹感とほろ酔いかげんで上機嫌の私はごろんとソファに転がった。

「沙羅、行儀悪い」

テーブルを片付けていた景が母親の様な小言を言った。
私は「はぁ~い」と気のない返事をしてキッチンへと向かい、食器を洗い始めた。
景は食器を運び終えると、隣で私の洗った食器を拭いて食器棚に戻していった。
じっと立ってみて分かったけど、私は結構酔っている様だ。
自分ではちゃんと立っているつもりだったのに、いつのまにか景に寄りかかっていた。
景は私から食器を取り上げて泡だらけの私の手を洗い流して言った。

「ここはいいからちょっと休んでろ」
「なんか準備のときと同じこと言われてる気がする・・・」
「まだ記憶は飛んでいない様だな」
「そこまで飲んでない」

本当に何もしていないな、と少々の罪悪感を感じつつも大人しくソファに戻った。
ごろんと横になると、私はそのまま寝てしまった様だった。