照れている田宮を見ていると、なんだかこっちまで照れてきてしまって、どうしていいかわからず、お互いその場を動く事無く気まずい雰囲気が漂っていた。

「なぁ、沙羅ちゃん」

沈黙を破ったのは田宮だった。
俯いていた視線をあげ、田宮を見ると、そこにはふざけた笑顔も照れた顔でもない、真剣な顔をした田宮がいた。

視線があったところで田宮は続けた。

「今、誰ともつきあってないんやったら・・・・今度、俺とデートしてくれへん?」
「はぁ?!なんであんたとデートなんてしなくちゃいけないのよ!」

思いもよらない言葉に私の頭はパニック状態だった。
そんな私の言葉は予想済みだったのか、余裕の表情になった田宮が答えた。

「なんでって、沙羅ちゃん彼氏おらんのやったら俺とデートしても別にええんちゃう?まさか沙羅ちゃん、中3にもなってデートした事ないとか言わへんよな?」

挑発的にニヤッと笑った田宮を見た瞬間叫んでいた。

「いいわよ!デートぐらい!いくらでもつきあってやるわよ!!」
「ほんま?良かった。ほな、行きたいとこ、考えといてや」

そう言って田宮は走って元来た道を戻っていった。

私、なんだか田宮にはめられてない?

その事に気付いたのは、田宮の後姿が米粒ぐらいにしか見えなくなってからだった。