次の日。
仕事が終わり、景に電話をした。

「景?私、今仕事終わったんだけど?」
『あぁ、ちょうど良かった。今、沙羅の会社の前に着いたとこだ』
「えぇ!会社まで来てくれたの?」
『こっちが早く終わったから、時間つぶしも兼ねて来たんだ』
「すぐ出るから!」

私は慌てて帰り支度をして会社を出た。

エントランスを出たところに景が壁に寄りかかる様に立っていた。
その横を会社の女子社員達が何かを囁き、景をちらちら見ながら通り過ぎていた。

(景・・・あんた本当になんで彼女作らないの?)

完璧な容姿の幼馴染みに半ば呆れた様に声をかけた。

「景、お待たせ」
「あぁ、お疲れ」
「景、あなたかなり注目されてたの気付いてた?」
「まぁ、学生風の男が会社の前で待ちつくしていたら目立つだろうな」
「それだけじゃないと思うよ・・・」

景の女性に対する無頓着さにため息をついた。

「そんな事より、沙羅、何が食べたい?」
「う~ん・・・おいしい物ならなんでも」
「えらくアバウトだな。じゃあ俺のおすすめでいいか?」
「うん。まかせる」

そうしてふたりで会社を後にした。