「せやからやなぁ。客席に沙羅ちゃん来てるの見つけて、あ~沙羅ちゃん、わざわざ休みの日に藤堂の為に応援に来てんなぁ、とか思ったわけよ。
そんで、ちょっと俺の応援とかもして欲しいなぁとか思ったりしてな。
で、藤堂見たら、めったに笑わんあの藤堂が、めっさ優しい顔して沙羅ちゃん見とるやん?ほんで、沙羅ちゃんはこれまたかわいい笑顔して藤堂見とるから、俺はてっきりふたりはそういう仲なんやと思うたわけよ。
で、俺は試合前にその事に気付いて全然ゲームに身が入らんかってガタガタやったところを、沙羅ちゃんの愛の言葉で目が覚めたって訳や」
「あれのどこが『愛の言葉』よ!」

とりあえずひっかかったところは突っ込んだが、立て板に水の如くぺらぺらと話す田宮を呆然と見た。
そしてなんとなく気付いた事を聞いてみた。

「もしかして今、照れてる?」
「―――!!沙羅ちゃん、そこは突っ込まんといて!俺は今、情けない自分を暴露して羞恥の極みやねん。そっとしといて!」

そう言って自分の口元を覆い、そっぽを向いている田宮は耳まで赤かった。
そんな田宮の姿を見て私は

可愛いな

なんてガラにもない事を思ってしまった。