「頼む……このことは黙っていてくれ!悪気があってやったわけじゃないんだ!」


轢き逃げに悪気なんてあるはずがない。
勝俣は頭に相当血が上っていたのだろう。

そんな勝俣とは対照的に、私はこの場に居られたことに感謝していた。


「分かりました。何も見なかったことにしますよ……」


「でも!でもどうすればいいんだ!このままじゃ見つかるのも時間の問題だ……」


勝俣は頭を掻き毟り、道路に膝を崩す。そして一つの答えを出した。


「君……!この助かる余地もないこの子がここにいちゃマズイのは分かってるだろ!?」