3本目のビールを飲み終わり、キッチンのゴミ箱に缶を捨てに行った。



ユウリがテキパキ料理する中、妹はただぺたんと床に座ってそれを見てる。



なんなんだ、この女…。



「澪王さんって嫌いなものあります?」

「ねぇよ」

「よかった。お仕事はなにを?」



俺って知名度低いな…。



若いヤツには人気あんのに…。



「ラッシュってバンドで歌ってんの」

「へぇ!!ミュージシャン!!テレビなかったから知らなくて…」

「いや、まだまだだし」

「ステキな声ですもんね。今度歌ってください」

「俺の歌は高いけど?」

「体で払います」



どんな意味だよ…。



笑ってるユウリに違和感。



高校男児が男相手に言うセリフかよ…。



キレイな顔して、冗談キツいな。



「シュリ、運んで」



コクッと頷いたシュリが立ち上がり、ハンバーグをテーブルに運んだ。



「ユウリ、なんでアイツしゃべらねぇの?」

「僕も父さんが亡くなってから声聞いてないんですよ。ショックだったからかなって思ったけど…」



病院に行く金がねぇって。