湖にあるこの別荘は周りにはなにもないけど、この家の中にはすべてがある。



「澪王っ…、知らない人がいっぱいいる…」

「親父が雇ってる別荘専用スタッフ。いつもは親父の出張とか、取引先の接待に使ったりしてる」

「お嬢様になった気分…」

「今日はよろしく」



ペコリと頭を下げた7人。



どっかに泊まって、変なとこから俺らの関係が漏れるのがいちばんイヤだったし。



ここなら気兼ねなく過ごせる。



「責任者の大塚です。何かありましたらなんなりとお申し付けください」

「まず疲れたから…」

「ビール、ですか?」

「マジで?よくわかってんじゃん」

「澪王様のことは多少リサーチさせていただきました。それに、社長からもいろいろと聞かされてますから」

「じゃ、ビール」

「ただいまお持ちいたします」



いたれりつくせり…。



シュリは別荘探検に行ったし。



ゆっくりしよ~。



「おもしろそうなのいっぱいあった!!」

「希王のだな。読むのか?」

「うん」



どうやら小説を持ってきたらしい。