音楽が好きで、特に歌うことがいちばん。



バンドを始めた時も、なぜか俺が歌うことが前提で結成されて。



歌うのが好きだなんて、誰にも話したことはない。



それが素直なヤツに評価されてることがこんなにも嬉しいなんて、初めてのこと。



「歌っていい?」

「うん、澪王の独占ライブ~!!」

「ライブ料は後でカラダで払えよ~」



道中、俺はライブ並に歌った。



シュリも一緒に歌ったり、とにかく、好きな歌を好きなだけ歌う。



こんなこと初めてで、仕事抜きでこんなに気分よく歌えたのは初めてだった。



シュリって、俺に合ってんのかも。



素でいるって、こういうことか…。



静かな歌を3曲程歌ったら、隣のシュリはいつの間にか眠っていて。



別荘についても起きないシュリを抱っこして中に入った。



「シュリ、起きろよ」

「ん~…?うわぁっ!!お城!?」

「いちばんいい別荘」

「降りる!!」



下に降ろしたら寝起きとは思えぬ早さで動き始めた。