よし、なにも見なかったことにしよう。



俺、知らね。



だって今から帰るし。



予定より早く終わってくれたので、前の家に寄ってギター数本と荷造りしたままになってた服を車に詰めた。



向かうのは新しい家。



マンションの最上階で、相当広い。



コンシェルジュなんかもいて。



有料でホテル並みのサービスが受けられるのが魅力的。



まさに高級マンション。



「お帰りなさいませ、澪王様」

「荷物運びてぇんだけど、ちょっと手ぇ貸してくんね?」

「かしこまりました」



ほら、すげー親切。



ギターは自分で持ち、服が入ってる段ボールを持ってもらった。



「マジで助かる」

「とんでもございません」

「シュリは帰ってるか?」

「はい、先ほど希王様と一緒に」

「ユウリは?」

「ご友人とお帰りになりましたよ」



ついに来たのか。



さぁ、初対面。



「中までお運びいたしましょうか?」

「そこに置いといてくれりゃぁいい」

「では、私はこれで失礼いたします」

「ありがとな~」



玄関先に置いてもらった段ボール。