「澪!」 ある高校近くの電信柱の下で、その高校の制服を着た一人の女の子がそう声をあげた。 肩下まで伸びた艶のある黒髪。 強気で綺麗な顔立ち。 先月の中旬におろしたばかりのまだ着なれていない制服が、彼女の華奢な身体を包んでいる。 「遅い!」 「じゃあ教室の前で待ってたらいいだろう」 「3年生の教室なんて行けないよ!」 「なんで」 「だ、だって……」